スマホ中古品の先払い買い取り装うヤミ金、全国初摘発、法定100倍超の利息か?
2023/1/17 読売新聞オンライン
インターネットでの中古品買い取りで業者が先に現金を振り込む「先払い買い取り」を装い、違法に貸金業を営んだとして、茨城県警が東京在住の自称会社役員の男(45)ら11人を貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)容疑で逮捕したことがわかった。
この手口を巡る摘発は全国初。違約金名目の利子の返済が困難になるケースが相次いでおり、警察庁や金融庁が注意を呼び掛けている。
捜査関係者によると、男らは2021年11月頃〜昨年夏頃、都内で貸金業の登録をせずに、茨城県の男性ら複数人にスマートフォンなどの売買を装って現金を貸し付け、契約不履行の違約金名目で法定利息の100倍を超える利息を受け取っていた疑いが持たれている。
男らは当時運営していた中古品売買のサイトで「即日高価買取」「スマホで簡単」などと宣伝。
客にスマホやゲーム機器など商品の画像を査定名目で送信するよう求め、届くと即座に代金として数万円を客の口座に入金。1週間後に「商品が届かない」として、入金額に違約金数万円を上乗せして請求していた。
男らは中古品買い取り業を装っていたが、実態はなく、古物売買に不要な年収などの情報を客に求めていた。
県警は、先払い金を貸付金、違約金を利子とみなし、古物売買を装った実質的なヤミ金と判断した。ほとんどの客が物品の売買ではなく、借金目的で契約を結んでいたとみている。
県警は昨夏、男らの都内の会社事務所など関係先を捜索し、顧客名簿やパソコンなどを押収した。
運営していたサイトは現在閉鎖されている。県警は、このグループが同じ手口を用いるなどして、これまでに全国延べ約1万人に現金を貸し付け、数億円規模の利益を得たとみて全容解明を進める。
金融庁によると、こうした先払い買い取りを装ったヤミ金の被害は21年秋頃から目立ち始めた。弁護士らでつくる「買い取り金融対策全国会議」などの集計によると、22年1〜9月に全国から122件の相談が寄せられた。今もネット上には先払い買い取りをうたう業者が多く見られ、被害相談も増えているという。
同会議によると、主な被害者は20〜40歳代で、正社員が多い。ただ、客側も最初からお金を借りる目的で利用しており、後ろめたさから被害の相談をする人は一部とみられるという。