トレーサビリティ(traceability)とは、
製品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。
追跡可能性とも言われる。
近年、遺伝子組み換え作物の登場や、有機農産物の人気の高まり、
食品アレルギーやBSE問題、偽装表示、産地偽装問題などの発生に伴って、
食品の安全性や、消費者の選択権に対する関心が高まっており、
特に食品分野でのトレーサビリティが注目されつつある。
また、リサイクルの進展に伴い、家電製品や自動車などの
リサイクル資源の処理についてもトレーサビリティが求められており、
日本では消費者がリサイクル費用を負担する家電製品(2005年時点ではテレビ受像機、
冷蔵庫、洗濯機、エアコンディショナー)では、
処理について確認することが可能となっている。
なお、宅配便等のサービスでは、発送先から到着先までが一対一であるため、
追跡性が極めて高い。
全ての貨物情報がオンライン処理されている現代にあっては、
発送側や到着先が、荷物の受付伝票に記載された番号によって、
今何処の集荷場を通過しているかを、
インターネットの運送業者のウェブサイト上において、
リアルタイムで確認する事が可能となっている。
特にこれらは通信販売業者等が、商品発送の際に、
顧客に伝票番号を通知・顧客側で荷物の到着過程を確認できるといった利用法にも用いられ、
宅配便を使った円滑な商取引に活用されている。
日本では、完全なトレーサビリティ実現の手段として、
ICタグが経済産業省を中心とした官民合同で研究開発段階にある。
また食品(特に牛肉・鶏卵等)は、農林水産省が
トレーサビリティ普及に向けた活動を行っている。
実際の普及までのハードルには、主にコスト面での課題に因る所が大きいが、
ICタグを利用したトレーサビリティに関しては、
社会的に浸透すれば一つ数円台にまで価格は低下すると見られている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
農林水産省:トレーサビリティ関係