燃料電池は、乾電池などの一次電池や鉛蓄電池などの二次電池とは異なり、
水素などの燃料と酸素などの酸化剤を供給し続けることで継続的に電力を取り出すことができる化学電池である。
熱機関を用いる通常の発電システムと異なり、化学エネルギーから電気エネルギーへの変換途上で熱エネルギーや運動エネルギーという形態を経ないため、
熱機関特有のカルノー効率に依存しないことから発電効率が高い。
また、システム規模の大小にあまり影響されず、騒音や振動も少ない。
そのため、ノートパソコン、携帯電話などの携帯機器から、自動車、鉄道、民生用・産業用コジェネレーション、発電所、軍事まで多様な用途・規模をカバーするエネルギー源として期待されている。
燃料電池には様々な燃料が用いられるが、
主として水の電気分解の逆反応である 2H2 + O2 → 2H2O によって電力を取り出す場合が多い。用いられる電気化学反応、電解質の種類などによって
燃料電池は幾つかのタイプに分けられる。
なかでも固体高分子形燃料電池は室温動作が可能かつ小型軽量化が可能であるため、
携帯機器、燃料電池自動車などへの応用が期待されている。
固体高分子形燃料電池
固体高分子形燃料電池(こたいこうぶんしがたねんりょうでんち、polymer electrolyte fuel cell, PEFC)は、
イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)を電解質として用いる燃料電池である。
これまで様々な呼称があり、初期はプロトン交換膜燃料電池(proton exchange membrane fuel cell, PEMFC)とも呼ばれていたが、1992年に当時の通商産業省がニューサンシャイン計画を導入する際、
米国における学術的呼称である"polymer electrolyte fuel cell"の邦訳として
「固体高分子型燃料電池」という語を用いるようになってから、
次第にPEFCという略称とともに呼称が定着するようになってきた。
JISにおける標準用語を燃料電池に対して制定された際、タイプをしめす言葉として形が用いられていることから、
このタイプの燃料電池のことを「固体高分子形燃料電池」と定められ定着した。
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